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「花粉ってなに? 」

 

 花のおしべにはたくさんの花粉がついています。その側にはめしべがあって、おし
べの花粉がめしべの上に運ばれると花粉の役割はおわりです。
 私達、動物も植物もその体には両親から受け継いだ一組の遺伝子があります。この
遺伝子は大変大切なもので、生命の設計図に相当します。ですから、ふつうには生物
の体をつくっている一つ一つの細胞の中のそのまた奥の核膜でしきられた中にしまわ
れ ているのです。
 次の世代の子供達ができるためには、両親の持っている遺伝子が、それぞれ半分
になって組み合わさることが必要です。「それならば、植物の体の中で大切なもの
どうしが結びつけば、花粉のような容れ物なんかいらないはずですよね?」でもど
うしても体の外に遺伝子を出すことが必要になったんです。それは自分と同じ体か
ら作られためしべではなくて、他の個体のめしべに運ばれるチャンスを作るためで
した(有性生殖というんだ)。
「可愛い子には旅をさせろ」かな?危険な旅にたえて丈夫な子供が育つと考えてれ
ばいいでしょう。同じ花の中では丈夫な種ができないことが多いのです。雑種は強
い!
遺伝的にいろいろな組み合わせができることが大切です。
 「どうして他の個体のめしべまで運ばれるのですか?」それは、生物が複雑に進
化する過程であみ出したしくみなのです。たぶん、自分と同じ遺伝子構成を持つ個
体で繁殖を重ねていると、病気にかかりやすくなるという考えがあります。病原菌
が相手の特徴を知って侵入しやすくなるとまずいので、常にその構成が固定しない
ように自分とは違った構成の遺伝子を持っている別の個体との間での受粉が必要に
なったと言う説です。
 他所の植物のめしべまで移動するには、大変危険な空気中を通ってゆかねばなり
ません。空気中は乾燥しています。また太陽からの光りや紫外線も豊富に含まれて
います。植物にとってそれも細胞がむき出し同然で遺伝子を外に出すことは遺伝子
が傷つく可能性があり、とても危険なのです。
 種子も堅い殻や皮で守られていますが、花粉の膜の厚さ(1000分の数ミリ)と
比べれば何千倍も何万倍もの厚みを持っているのですから、ずっと丈夫にできている
はずです。また、シダ植物の作る胞子も花粉に良く似ていますが胞子にはひと組の遺
伝子が揃って入っているところが花粉とはちがいます。




1.コラム----花粉分析の応用

2.「花粉からさぐる昔の森の変遷」

3.稲が作られてきた歴史

4. 古墳発掘調査にて


 

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