この臨界事故で打撃を受けた地元の人たちの生活や経済活動は深刻な問題となっている。風評被害は農産物だけでなく、工業製品や観光地で予約のキャンセルなど続いている。
東海村の農家約400戸が18日具体的な額を示して損害賠償、約6億8千6百万円をJCOに請求した。県内産のサツマイモを乾燥させたほしいもの生産農家が中心。冬のほしいもの収入に危機感を強めている。損害賠償額の対象は、「風評被害による今までの実害と出荷が終わる2000年3月までの被害推定額である。
茨城県内のホテルや、観光地では予約のキャンセルが続いている。農水産物は一時、サツマイモなどが市場で荷受を拒否されたり、漁を再開したシラスが事故前の2〜3割安になるなどの被害を受けた。県の調べで、主要ホテルや観光地の主な施設だけでも4日までに1万6千人を超える予約キャンセルがあり1億円程度の売り上げ減少になってしまった。それからもキャンセルは続いている。
そして本格シーズンを迎えるアンコウも大変なことになっている。地元のある民宿を訪れるお客はつきに約500人。500万円の売上を見込むが、事故後のペースで行くとつき200万しかいかないとなげいている。しかも客に出すため、事故後に仕入れた15キロのアンコウを冷蔵庫に入れたまま。
年間約200万人が訪れる大洗町。名物料理はあんこうなべだが事故後はホテル、旅館、料亭は大打撃を受けている。被害額は約1億円に上る見込み。
そして野菜も下落している。東京の大田市場によるとねぎ(5キロ)が1日には2310円だったのに2日には1680円、同様にきゅうりも2310円から1575円に落ち込んだ。
東京の築地市場でも茨城県産のねぎ、サツマイモ、トマト、きゅうりなどが低調な取引となった。
そして、シラス干にしても茨城産はいらないとつき返されるしだいである。日大歯科部講師(歯科放射線学)の話。今回の事故で放出された放射性物質はごく少量で、半減期も短い。海中はもちろん、陸上の野菜なども含め、食物の汚染による人体への影響はまったく考えれない。
小渕首相が東海村役場で地元市町村長らと会い、茨城県産の刺身やメロン、トマトを食べ、安全性をPRするパフォーマンスもやった。