気候に合った森ができてゆく変化
森の変遷というと、普通には遷移のことをイメージする人が多 いかも知れません。遷移とは同じ気候状態の中で植物の群落など の生物の集団が時間とともにその組成を変えてゆくことを意味し ます。たとえば、何も植物が生えていない火山から吹き出たばか りの溶岩上であったところが、十分な水分と温度のある地域であ れば徐々に植物が侵入・定着して背の低い草原になり、やがて樹 木が入り込み森の形になってゆきます。最終的にはそれ以上変化 しない状態(極相)に達しますが、そこまでに約200年くらい かかります。 日本に自然状態で残されている各地の森林はみなこのような状 態に達して何百年も、場合によっては1000年を越えて存在し続 けてきたものです。ただし、大きな気候帯の中では同じような森 になりますが大きな山岳では森を代表する樹木がその高度に応じ て針葉樹や広葉樹になります。ですから、1000年を越えるよう な年数の中で気候が変化したのであれば、現在とは異なる樹木組 成の森が存在していたはずです。 |